ひと握りの乾いた砂あと。
 
 
 
■ 広尾のとある病院の前を歩いていた。
 街路樹があって、舗道はすこし湿っている。
 冬であれば靴音が響くだろう。
 
 
 
■「この舗道を歩いていて、突然抱きしめられたの」
「それで、どうしたの」
「どうもしないけれども、すこしだけドキドキした」
 
 
 
■ 彼らは結婚をした。
 一回り歳が離れていた。
 男が泣いたのだそうだ。